目次
PoCとアジャイルもどきの前提
- 目的: 新機能の「技術的な実現可能性」と「基本的な価値」を低コスト・短期間で検証する。
- アジャイルもどき: なるべく短いサイクル(イテレーション)で「計画→試作→評価」を繰り返し、学びを次に活かす。
アジャイル的なPoCで活かす「SUKIMA」の4つの視点
01 隙間を埋める概念:開発キットと既存資産で「最速の試作」
- 100%計画(スキーム): 「新しい画像認識機能を検証するため、専用基板を起こし、ファームウェアを開発する」という理想的な計画。
- SUKIMAの視点: PoCの目的は「機能が動くか」の検証であり、完璧なハードは不要です。ここには、理想的なハードウェアが完成するまでの「時間」という隙間があります。
- アジャイルな進め方:
- イテレーション1: まずは専用基板を起こさず、Raspberry PiやM5Stackなどの開発キット(隙間を埋めるツール)とUSBカメラを使い、1週間で画像認識アルゴリズムのコア部分だけでも動かしてみる。
- 得られる知見: これにより、「そもそもこのアルゴリズムで目的の認識ができるのか?」という最大の不確実性を最速で検証できます。
02 創造性の源:「完璧とゼロの間」で動くプロトタイプ
- 100%計画(スキーム): 新機能は「製品レベルの精度(99%)で動作する(イエス)」か「全く動かない(ノー)」かで評価する。
- SUKIMAの視点: しかしPoCの段階では、「精度は30%だけど、特定の条件下では正しく動く」といった中間状態にこそ、価値ある学びが隠されています。
- アジャイルな進め方:
- イテレーション2: 精度30%のプロトタイプを使い、「どういう条件なら上手くいくか?(明るさ、角度など)」を実験・特定します。
- 得られる知見: 「特定の照明下なら実用レベルになる」といった制約条件や、「この認識対象は苦手らしい」といったアルゴリズムの弱点が早期に判明し、次の改善の具体的な方向性が見えます。
03 価値の創造:「ついでに取れるデータ」の発見
- 100%計画(スキーム): 「対象物Xを認識できるか」という主目的の達成のみを目指します。
- SUKIMAの視点: しかし、画像認識の過程では、対象物X以外にも「背景の色」「周辺の温度(※別センサーが必要な場合も)」など、意図せず取得できる副次的なデータが存在します。
- アジャイルな進め方:
- イテレーション3: 主目的の検証と並行して、これらの副次データを「ついでに」記録しておきます。
- 得られる知見: 後でデータを分析した際、「実は背景が青色の時に誤認識が多い」「温度が高いと認識率が下がる」など、予期せぬ相関関係が見つかることがあります。これは将来、製品の付加価値(例:環境診断機能)や、品質改善のヒントにつながる価値の種となります。
04 進化と革新:「捨てられる試作」と「再利用できるコード」
- 100%計画(スキーム): PoCで作ったものを、そのまま製品開発に流用しようと考える。
- SUKIMAの視点: PoCの本質は「学びを得ること」であり、作ったモノ自体は使い捨てになる可能性も秘めています(試作と製品の間の断絶 = 隙間)。
- アジャイルな進め方:
- イテレーション4以降: ハードウェアは変化することを前提に、Pythonなどの高級言語で書いたアルゴリズム部分と、ハードウェアを直接制御する部分を意図的に分離して開発を進めます。
- 得られる知見: 将来、ハードウェアが開発キットから専用基板に変わっても、再利用可能なアルゴリズムのコードが資産として残ります。これにより、PoCで得た知見を無駄にせず、本格的な製品開発へとスムーズに移行(進化)できます。
このようにSUKIMAの視点を持つことで、アジャイル的なPoCの各サイクルで「何を優先し、どこまで作り、何を学ぶか」を的確に判断できるようになります。

